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課題

各国各社のメーカーが、総合熱効率に優れる燃料電池自動車の開発にしのぎを削っている現在、水素自動車は影の存在となりがちであるが、普及に当たって支障となる水素の取り扱いに関する問題点は燃料電池自動車と共有するものであることから、この点に関しては燃料電池車と歩調を合わせて開発、普及が進展してゆくものと考えられる。また、既存のエンジン技術を応用できるメリットがあり、エンジンを使って加速するというモーターでは得られない内燃機関独特の走行感は、燃料電池自動車とは違うマーケットを形成できるものとも言われている。これらの点に加え、触媒にレアメタルを使用する燃料電池を搭載しなければならない燃料電池自動車に対し、水素自動車は従来のエンジンを改良するだけでよいため、圧倒的に安価に仕上がるという利点もある。そのため、マツダが開発した水素とガソリンのハイブリッド自動車(RX-8 ハイドロジェンRE)の価格は、従来車よりも100万円程度高いもので済むと予想されている。

ただ、元々水素自動車が開発されるきっかけとなっていた、石油の精製過程の副産物として出てきた大量の水素ガスは、公害対策を理由として行われてきた精製設備の更新によって水素ガスが発生しないものへと変わってきている。

このため、燃料の供給元をどうするかというのも重大な課題となっている。

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水素の物性に関する問題

水素分子が極小のため、シリンダーブロックなどを構成する金属中に拡散・浸透し、脆くしてしまう現象(水素脆化)および水素の車両への搭載方法に関する問題が挙げられる。また、水素レシプロエンジンでは、水素の燃焼速度が高いために吸気-圧縮過程で混合気が高温の点火プラグや排気バルブに接触した際に爆発が起こりやすく、ノッキングやバックファイアーなどが起こりやすい(ロータリーエンジンは構造上、バックファイアーが起こりにくい)。このため、水素混合率を極めて薄くする必要があり、ガソリンを用いた場合と比較すると、出力は50%程度に留まる。更に、水素と空気の混合気を燃焼させた場合、二酸化炭素や硫黄酸化物は生成されないが、高温燃焼過程に酸素と窒素が共存する結果、窒素酸化物が生成されるという本質的な問題がある。

安全性

ヒンデンブルク号爆発事故の イメージなどから、水素は危険だというイメージがつきまとっている。だが実際はヒンデンブルク号は真っ赤に燃えており、水素ではなく実際の事故原因はアル ミニウム合金によるものとされている。ガスタンクに亀裂が入った瞬間、水素の特性である気体中最軽量という点から急速に大気中に放出・拡散、一部は大気中 の酸素とすぐに結合して水になるため、ガソリンの危険性と大差が無いのではないかという説もある。しかしながら、水素は燃焼時に炎がほとんど見えず、爆発 濃度域が非常に広いという問題があるために、発火後の消火は容易でないことが予想される。

熱効率

燃料となる水素は、採掘によって得られる一次エネルギーとは異なり、水素源にエネルギーを与えて初めて得られる二次エネルギーである。現在、水素は天然ガスなどの改質によって工業生産されているが、前述のとおりエネルギーを消費するため、製造効率は60〜70%程度にとどまっている。一方、ガソリンおよび軽油の採掘・精製・運送(中東〜日本の場合)の熱効率は90%以上である。また、水素燃焼エンジン単体の燃焼効率は従来のエンジンと大差無いため、燃料の製造過程を考慮した総合熱効率はガソリンエンジンやディーゼルエンジンよりも劣る。このため、水素燃焼型自動車の大量導入によって、単純に自動車用燃料を石油から水素にシフトさせても、結局はそれ以上のペースで天然ガスの消費を招き、二酸化炭素の 総排出量が現状よりも増加するという見方がある。一方で、工業的に副産物として生成する水素を利用した場合には、廃棄物の再利用となる。現在、日本におい ては数百万台分の水素燃焼車の燃料を賄えるだけの水素が廃棄されているとされている。これらを回収・精製し、効率的に配分するインフラの構築が望まれてい る。

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