公衆接遇弁償費とは?交番でお金を借りる事が出来るってホント
外出先で財布を落とした経験があるという人も少なからずいるようです。
財布がないと「帰りの電車賃をどうやって工面するか」という事に悩んでしまいます。
やむを得ない事情で切符が買えない時は、駅員に相談すれば電車賃のお金を貸してくれることも有るようですが、そんな時知っておけば役立つのが「交番でお金を借りる事が出来る」という事です。
財布を落としたり、取られたりした時は、もよりの交番へ届を出しますが、その時に事情を話せばお金を貸してもらえることがあります。
目次
「公衆接遇弁償費」でお金は借りられる
「公衆接遇弁償費」という事ってどんな制度?
この制度は、警視庁の警ら部長が1968年に警視庁管内に出された通達で、全国の警察で導入されているわけではありません。
警察は自治体によって組織化されているので、公衆接遇弁償費の制度自体が存在していない地域もあるので、どこの交番でも利用できるとは限りません。
公衆接遇弁償費の制度がある地域のでは、以下の理由があれば貸してもらえることもあります。
限られた条件とは
- 外出先で財布を盗まれた、または紛失してしたため所持金がないという場合
- 行方不明者が保護された際に必要な交通費や経費
- 病気や交通事故などによって保護された時の救護に必要な経費
- その他の公衆接遇の適正を期する為に必要とされる経費
などの理由があれば借りる事が出来ます。
交番でどうやこうした条件を見てもわかるように、警察署や交番でお金を借りることができるのはあくまで緊急時のみになります。
交番でお金を借りるには
制度を適用させるためには、交番でお金を借りることに至った経緯を話し、その事情を聞いた警官が貸し出しをするかどうかの判断をします。
お金を借りる際は「借受の日付」や「住所」「電話番号」「氏名」「生年月日」「年齢」「職業」「借受金額」「借受理由」などの記入をし、最後に「押印または指印」します。
仮受する際は返済書が渡されるので、これで返済することになります。
公衆接遇弁償費で貸してもらえる限度額は原則1,000円までとなっています。
交番でお金を借りられるといっても、上限が1,000円ですから生活費の足しにできるような大金を借りることはできません。
1,000円以上は借りられない?
公衆接遇弁償費の限度額が原則1,000円までという事は理解してもらったと思いますが、場合によっては1,000円借りる事も出来ますが、1,000円以上借りるのは簡単ではありません。
1,000円以上借りる場合は「公衆接遇弁償費事務取扱要綱の制定について」の中で、下記のとおり記されています。
「1人に対する貸出額が1,000円を超える時は、事務担当者(不在の場合は補助者、夜間などで補助者が不在の時は、本署登板責任者、または当直責任者)に報告し、その承認を受けること。
ただし、急を要し事前に承認を求めることができない場合は、速やかに事後承認を受けること。」
と書かれているように、事務担当者は「地域課長」「企画課」「運転試験免許場」「鉄道警察隊」に準じる警察官に限定されていて、補助者は事務担当者が指定した警察官となるので、交番のおまわりさんは補助者に当たります。
つまり夜間などで緊急を要する場合は、おまわりさんの判断で1,000円以上のお金を貸してもよいという事になっていますが、それ以外は事務担当者の判断が必要となります。
また公衆接遇弁償費の取扱責任者は総括主管者と呼ばれ、「警察署長」「企画課長」「運転試験免許場長」「鉄道警察隊長」が担当しています。
このように公衆接遇弁償費の手続きが解れば、1,000円以上のお金を借りる事や容易でないことがわかります。
また、公衆接遇弁償費で、1000円以上貸してもらうには容易ではないため、事情によってはお巡りさんのポケットマネーで貸してもらったという話もあるので、親切なお巡りさんに当たれば借りられる可能性もないわけではありません。
あくまでも救済措置であるということ
必ず貸してもらえるわけではない
交番でお金を借りる際の注意点ですが、裁量はそれぞれの交番に任されていることです。そのことから対応策にも違いがあり、状況次第では「貸してもらうことができない」などの場合もあります。
たとえば、財布を落とした時や盗難にあった時は、交番に紛失届や被害届を出すことになるので、お巡りさんに相談すれば解決策を提案してもらえる事もあります。
お巡りさんは、同じようなケースを数多く見ているので、公衆接遇弁償費にかぎらず具体的な解決方法を提示してもらえる事もあります。
どうしても解決できない時は、公衆接遇弁償費を借りれば良いわけです。
ただし、申し出れば必ず借りられるというものではありませんので、まずは自分で対応策を考えてみる必要があります。
その上で、解決方法が見つからなければ、最終手段として交番を頼るようにしてください。
借りたお金は出来るだけ早く返済する
公衆接遇弁償費の返済率は意外に低く、2015年度の返済率は78.6%という状況です。
借りたものは返すのが常識ですし、「警察相手に借りたお金を返さない人なんていない」と思われがちですが、現実はこのように低い返済率になっています。
返済方法については、基本的にお金を借りた時の警察署か交番へ出向き、直接返済をする事になっています。
しかし、旅先や出張先など、遠方の警察署や交番で貸してもらった時など、出向く事が出来ない場合もあります。
そんな時は最寄りの交番や警察署に相談をすれば、そこで返済する事も可能ですし、振り込みをする事も可能です。
交番でお金を借りる方法
知人や家族に連絡をとる
交番へ行けばお金を貸してもらえる可能性はありますが、その前に他に方法がないかを考えてみましょう。
その方法ですが、昔と違ってほとんどの人は携帯電話やスマホを持っているので、お金がないから連絡が取れないという事はありません。
まずは、電話で家族や友人に連絡を取って事情を説明し、迎えに来てもらえれば交番へ行く必要はありません。
携帯電話やスマートフォンも一緒に紛失した場合は、交番や駅などで電話を借りることもできますし、通りがかりのお店で事情を説明し、そこで電話を借りるのもひとつの方法です。
タクシーと交渉してみる
家に帰れば現金やクレジットカードがある場合、タクシーを利用するのもひとつの方法です。
所持金がなくても、着払いで相談すれば自宅まで送ってもらえる事も有ります。
交番に相談しているのなら、交番の警察官に立ち会ってもらえばタクシードライバーも安心して送ってくれるでしょう。
カードローンでお金を借りる
運転免許証や健康保険証などの身分証明書を持っていればカードローンで借りる事も可能です。
カードローンの申込は、スマホがあれば申し込むことができますし、早ければ申し込みから1時間程度で振り込みをしてもらう事も可能です。
最近ではスマホアプリも充実しているので、契約が完了すればスマホを使ってコンビニATMからお金が引き出せるようになります。
万一の事を考えて、事前にカードローンの契約をしておくのもひとつの方法です。
まとめ
交番でお金を借りるのは、ほかに方法がない時の最終手段にしたいところです。
この制度は、返済率の低さから廃止しようという声も多く、今後は廃止する都道府県も出てくることが予測されますが、そうならないためにも「借りたお金はちゃんと返す」という心がけが重要になります。