投資家ウォーレンバフェットに学ぶ投資哲学

ウォーレンバフェット。
世界長者番付に長年登場し続ける彼は、オマハの賢人とも言われ、世界中の投資家からその動向が注目されている人物です。
投資に興味を持つと、必ずと言っていいほど彼の名前を目にすることでしょう?それほど、世界中の投資家から注目され、お手本とされています。
では、実際にウォーレンバフェットは、どのような投資を行っているのでしょう?
また、どのような考えで投資に向き合っているのでしょうか?
今回は、投資家なら絶対に知っておかなければいけない投資家、ウォーレンバフェットについて書かせていただきます。
目次
ウォーレンバフェットは、いかにしてウォーレンバフェットになったのか?

ⓒdenisismagilov
幼い頃に培われたビジネス感覚
バフェットの投資手法や哲学は、どのようにして育まれてきたのでしょうか?
そのヒントは、彼の幼少期にあります。バフェットは、1930年の8月30日にネブラスカ州オマハで生まれました。
彼について調べると、その幼少期の経験が後々の投資家としての成長に大きく影響している事が分かります。
幼かったバフェットは、祖父から6本のコーラを25セントで売ってもらい、それを近所で1本5セントで売っていました。6本売って、5セントの利益。これは、もう立派なビジネスです。仕入れた価格より高い価格で販売する。幼かったバフェットは、商売の基本をコーラの販売で学びました。幼い子供が、自らの手でお金を稼ぐ。この経験は私たちが想像する以上に大きかったようです。
高校三年生になると、バフェットは友人と一緒に中古のピンボールを購入し、理容店に置くというビジネスを始めました。このビジネスによって、彼は最終的に毎週50ドルを手に入れるようになったのです。
そして、そのビジネスを退役軍人に1200ドルで売却しました。アルバイトで稼ぐのではなく、自分で稼ぐ。これらの出来事が彼のビジネス感覚を育てたのは間違いないでしょう。
バフェット少年が初投資で学んだこと
バフェットの初めての投資は、彼が11歳の頃だったというのも驚きです。
11歳だった彼の初投資はどうだったのでしょうか?彼は姉と共に、ある株を38ドルで3株買ったそうです。
38ドルの株を3株といえば取得価格は114ドル。為替レートを1ドル100円で考えると、日本円で11400円になります。11歳の子供ともなると、毎日のお菓子を始め、欲しいものがそれこそ山のようにあるでしょう。しかし、彼はそこで自分の欲求に負ける事なく、最初の投資を行ったのです。
この部分は、大人である私たちが学ぶべき事が隠されています。欲しい物を欲求に負けて、ただひたすら買う。将来的に価値を生み出す事もないものを買っていても、お金は減るだけです。
幼いバフェットは欲求に負けなかったのです。 彼の買った株は、その後27ドルまで下がりました。
しかし、再び値を戻し40ドルまで値上げした時に決済したのです。という事は、手数料を考慮しなければ、1株あたり2ドルの利益を手に入れた事になります。合計で6ドル。初めての投資であれば、少ないながらも利益を手に入れた事に喜んで終わりそうなものです。
しかし、彼は違いました。彼が決済した株はその後、長期的に値を上げていき最終的に200ドルまで値を上げたそうです。
彼は、そこで学んだのです。初めての投資で利益が出たからといって喜んで終わりませんでした。彼は、そこで投資には忍耐力が必要だという事を学んだのです。
13歳の確定申告
バフェットは幼い頃から行っていた新聞配達の仕事を、13歳になっても続けていました。
ビジネスを行っている以上、避けて通れないのが納税義務です。どんなに幼い少年が行っている事でも、報酬が発生している以上は立派なビジネスです。そこで、彼は更に階段を一段上りました。 ビジネスを行う為には、様々な経費が必要になってきます。
彼の場合は、それが自転車でした。新聞を配達する為には、自転車が必要です。バフェットが行う新聞配達というビジネスには、必要不可欠なアイテムといえます。その自転車を、経費として計上し確定申告を行ったのです。 確定申告を行うメリットは思っているよりも多く存在します。
まず、経費が計上できるので、納税額をフェアに算出できるという点。また、確定申告を行う際には正確な売上を把握する必要があります。
という事は、月毎の売上も算出できます。そうすると、経営分析を行う材料が出来ます。数字を出し、それらを比較する事により、自分のビジネスを客観的に分析できるようになるのです。 また、正確な経費や売上、その他の資産や負債などを算出する事によって、貸借対照表や損益計算書といった決算書の作成も出来るようになります。決算書が作れるようになるという事は、決算書を読む能力を培う事にもつながります。決算書を読む力は、投資を行う際に必要なものです。
ウォーレンバフェットの投資手法とは?

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必要なのは高度な数学理論?難解なチャートを分析する力?
書店に行けば、株式投資に関するたくさんの本が売られています。それらの本には、「絶対に儲かる成長株の見つけ方」「毎朝、数時間で資産が数倍に!」「楽して儲ける投資手法!」といったような、景気がいい言葉が並んでいます。これらの本を読むと、実に様々な投資手法が紹介されています。 ある本には、株式投資はチャート分析こそ大切だと書かれています。また別の本には、デイトレードこそ資産を増やすたった一つの方法だ。などと本当に様々な事が書かれています。また、海外のヘッジファンドなどは高度な数学を用いて毎年○%の利益を上げているといった事も紹介されていて、どれを信じればいいのかわからなくなってしまうでしょう。 読めば読むほど、株式投資はやっぱり難しいものなんだと納得してしまい、いつしか投資から遠ざかってしまう。そんな人も少なくないのではないでしょうか?しかし、バフェットは投資とはそんなに難しいものではないと言います。
時間を味方につける投資法
バフェットの投資手法はバリュー投資と呼ばれています。バリュー投資とは、企業価値を分析して理論株価を算出し、市場株価がその理論株価よりも安い場合、理論株価に戻るまで持ち続ける手法です。
割安だと判断した企業が正当な価値になるまで保有するというシンプルなものです。 幼い頃の初投資から学んだ、忍耐力というものが必要となる投資法です。
バリュー投資は、長期投資に分類されます。割安に放置されている株を持ち、市場がその存在に気付くまで忍耐強く待たなければいけません。
その為、短期投資のように数分後の株価に一喜一憂する事はありません。
正しいと思う理論株価に戻るまで、ひたすら待ち続けるのです。もちろん、割安だからといって、どんな株でもいいわけではありません。
ビジネスモデルがしっかりしている上に、割安でなければいけません。そして、投資を行っている限り、避けられないのが企業の倒産です。投資した企業がその先、何10年と生き残り続ける事が出来なければいけません。
優良企業が割安になる時とは?
そういった、優良企業が割安になる事なんてあるのだろうか?誰もが、そのような疑問を抱く事でしょう。
バフェットは投資に三振はないと言います。だから、打てそうにない球がくれば、いくらでも見送ればいい。
自分が得意とするコースにボールが来た時だけバットを振ればいいのだと言っています。
そのため、まずは優良企業を見つけてチェックしておく事が大切になるのです。そして、その優良企業が割安になるのを待てばいいのです。 実際に、2008年に起きたリーマンショック時には、多くの優良企業が割安な価格で売買されていました。
リーマンショックのような、世界を揺るがす経済危機が起こると、誰もが不安に駆られて持ち株を処分してしまいたくなります。
例え、それがどんな優良企業でもです。確かに、世界的な経済危機が発生すると、一時的に業績は悪化する事でしょう。
誰もが不安になり、消費を控えるので、企業の売り上げも落ちます。しかし、それが永遠に続く事はありません。
世の中から必要とされているモノやサービスを売っていれば、一時的な業績悪化で経営基盤が崩れたりはしないからです。やがて、景気の底を確認できれば、株価は上昇していきます。その時に一番最初に値を上げていくのが、そういった割安で放置された優良企業なのです。
バフェットの言葉に学ぶ投資哲学

ⓒPhotocreo Bednarek Man about to walk over precipice on SUCCESS word bridge. Dream sky and mountains. Motivation, ambition, business concept.
絶対的な2つのルールとは
バフェットの投資手法を学んだ次は、バフェットの考えを理解する必要があります。いうなれば、バフェットが長年培ってきた投資哲学です。
中でも、最も有名なのがお金持ちになる為の2つのルールです。
そのルールとは、 1. 絶対にお金を損しないこと。 2. 絶対にルール1を忘れないこと。 というものです。
この意味する事とは何でしょう?
つまるところ、無駄遣いをするな。損をするかもしれないような投資を行うな。という事ではないでしょうか?投資とは、資本を投じて利益を得ようとする行為です。
利益を得る為には、投資するに値する企業でなければいけません。連日株価が上がっているからという理由で、何をしているのかも分からない企業の株を買う行為ではありません。企業の事をしっかりと調べて、尚且つ将来性がある企業が割安で放置されている時に行うのが投資です。 目先の株価に惑わされていると、将来的なビジョンが見えない為に自分が納得できる投資が出来ません。バフェットは、その事を伝えようとしてくれているのではないでしょうか?
分からないものには手を出さない
バフェットは、ITバブルの頃にIT企業の株を購入しませんでした。その理由は、いたってシンプル。
自分は、そのIT企業が何をしている企業なのか分からないからという理由でした。あの頃は、IT企業だというだけで株が買われていました。
実際に、株を購入した人の中には、どんな事をしているのか正確に説明できない株主も少なくありませんでした。
ただ、IT企業だからという理由だけで買われていたのです。多くのIT企業の株価が上がるのを見ると、誰もがこれからはIT企業の時代だと思い、更に株価は上がっていったのです。 しかし、現実は株価の暴落という形で、多くの投資家の懐を痛める結果となりました。
企業分析も行わず、目先の株価に踊らされた結果ともいえます。バフェットは、自分が投資する企業がどのような企業か、子供に説明できないようでは、投資を行うべきではないといいます。子供でも分かるぐらい簡単に説明できなければ、自分が企業の事を理解できていないと考えているのでしょう。
まずは、しっかりと企業の事を知る。そんな当たり前の事こそが大切なのです。
株を買うとはどういうことか?
株を買うという事は、どういう事なのでしょうか?
目先の株価だけを追いかけていると忘れがちになりますが、株を買うという事は保有している株式の分だけ企業のオーナーになるという事です。
株式会社とは、株主のものだからです。 バフェットは、この点を非常に大事に考えています。自分が保有したくなるような企業でなければ投資を行うべきではないのです。考えてみて下さい。
自分が企業のオーナーになるとして、何をしている企業か分からないままオーナーになりますか?企業のオーナーが目先の値動きだけに翻弄されていては、正しい経営は行えないでしょう。
自分が、オーナーになりたいと思える企業を探して、実際にその企業の株主になり、その企業を応援しながら配当金や株主優待を手にする。やがて、その企業が成長していけば株価も上昇していきます。自分が見込んだ企業であれば、そんなに簡単に手放したりしないはずです。長い目で見守る事が出来るでしょう。
そして、時間と共に企業が成長していけば大きな果実を受け取る事が出来ます。長い時間を共に出来る企業、そのような企業に投資しなければいけません。バフェットが大切にしているのは、共に歩みたいと思える企業に投資する事なのです。
まとめ
株式投資には、様々な投資手法が存在します。
そんな数ある投資手法の中でも、王道だと言われているのがバフェットも行うバリュー投資法です。
バリュー投資法では、ディトレードのように一時的な株価の動きに一喜一憂する事はありません。自分が、オーナーになりたいと思う企業に投資して、後はどっしりと腰を据えて待つだけです。投資としては地味に思えるかもしれません。しかし、バフェットが初めての投資で何を学んだのかを思い出してください。投資に必要な物。
それは、忍耐なのです。バリュー投資を行う前には、是非ともその事を思い出してください。